+Coin+



良く言えば豪快。悪く言えば力任せ。
それでも人が惹かれるのは、やはりその男の魅力というものなのだろう。
自分だけはその魅力に惹かれたりはしないと、固く心に誓ってはいる。
そのはず、なのだけど。



いつもの如く押しかけてきたティバーンにネサラはいつもの如く抵抗する。
それでもいつしか床に押し倒され、快楽に流されてしまう。
身体が熱に犯され強い刺激を求める。ティバーンに口で塞がれて、呼吸すらままならない。
無意識に、ティバーンの手に擦り付けるようネサラの腰が浮いた。

「ふっ・・・ア――――っ!!」

床の上でビクっとネサラの身体がしなり、ティバーンの手の中で蜜液を散らす。

「ん・・・割と速かったな、溜まってたのか?」
「っは・・・ぁ・・・知るかっ・・・」

覆いかぶさるティバーンに、整わない息でネサラが言い返す。
涙ぐんでいる瞳で睨まれてもティバーンからすれば誘っているようにしか見えない。

「いい顔だな」
「変態っ・・・」
「そう言ってられんのも、今の内だぜ」

そういってティバーンが自分のズボンをごそごそと漁る。
ちゃらっと何かが金属音を鳴らした。取り出したのは、数枚のコイン。

「ティバーン・・・?」

こんな時にコインを出して何をするつもりなのだろうか。
ティバーンの意図が掴めずに、ネサラの目は大きな掌の上で放り上げられるコインに向く。
ちゃらちゃらと、ティバーンは放り上げたコインをまだネサラの蜜液で濡れたままの手で取った。
コインに蜜液を擦り付けるティバーンに、ネサラは止めさせようと慌てて手を伸ばす。
そこに、隙が出来た。

「あっ!?」

ティバーンがネサラの片足を捕らえて深く折り曲げる。
ネサラはこの秘所を晒した恥辱的な格好に、ぼっと顔を赤らめた。

「は、放し・・・っ!?」

ネサラが身を反らそうとした瞬間、秘所から冷たい感触が伝わった。
チラ・・・とそこに視線を向けると、あろう事かティバーンはネサラの秘所に濡れたコインを押し込んでいた。
ティバーンは手を休めずに何枚ものコインでネサラの内壁を冷たく割く。
最後のコインでネサラの秘所にフタをするよう、押し込んだ。

「よし、こんなもんか」

血こそ出ていないものの、秘所に無理矢理押し込まれたコインはネサラに痛覚を与えていた。
痛みからか、ネサラの瞳に涙が浮かぶ。

「・・・っぁ・・・痛、い・・・・っ!」
「じゃあ出していいぜ。俺が足を押さえていてやる」
「は・・・?や、やめろっ・・・!」

ティバーンがネサラの足を大きく外側に開かせる。
閉じたくても、両足首を掴まれ閉じることは許されない。

「どうせそのコインはお前にやるつもりだからな」
「っ・・・」

ネサラは舌打ちをすると自分の秘所に手を伸ばした。
本当は死にそうなぐらい恥ずかしく、情けなさを感じてはいるのだが。
それよりも、この痛みが嫌だった。

「い・・・っ・・・!」

まずは秘所を塞いでいるコインから。
指で軽く押して、ねじる様に取り出す。
これは割と簡単に取ることができて、ネサラもほっと息を吐いた。
次第に1枚、また1枚と慎重に取り出していく。
順調に取り出してはいくのだが、思った以上に、自分の指は気持ち悪かった。
しかも、奥に行けば行くほどコインは滑り気を持っていて、取り出すのが困難になっていく。

「はっ・・・ぁあ・・・」

ずるりと秘液と蜜液を滴らせて何枚目かのコインが取り出される。
あと1枚。だが、最後のその1枚だけが取れない。
出来るだけ指を伸ばしてみるが、掠めるのが精一杯だ。

「あ・・・くぅ・・・・」
「どうした?」
「っ・・・う・・・」

ネサラは身体を屈めて指を奥に進めようとするが、上手く掴めない。
ティバーンはネサラの事情が分かって、意地悪そうに笑っている。
むしろ急かす様にネサラにたたみかけた。

「どーした?まだ取れねぇのか」
「この・・・外道っ」

ネサラは喉を引きつらせながらも言い返す。
黙って恥辱に耐える――というのをティバーンにだけはしたくないらしい。
ティバーンはネサラの抵抗に少し眉を顰めると、曝け出されたネサラの下腹部を軽く押した。

「ひぁっ!!」

押された振動が内のコインに伝わってネサラの身体を震わせる。
不本意にも、自分で慣らしてしまった秘所からトロリと透明な液体が内腿を伝った。
もう、我慢の効く状態ではなかった。

「ティ、バーン・・・取ってくれ・・・」

懇願などしたくはない。だが、天秤にかけられたネサラのプライドはこちらを取った。
ネサラにとってこの男の前で自慰してしまうなど、何が何でも嫌だった。

「・・・さて、どうするかな」

ネサラの顔が青ざめる。この男はどこまで自分を追い詰めれば気が済むのだ。
そんなネサラの心中を知ってか知らずか、ティバーンはネサラの顎を掴んで上を向かせた。

「お願いはもっと誠意を込めて言うもんだぜ」

ティバーンが挑発するようにネサラを見る。
ネサラはその言葉に、怒りで肩を震わした。
ぎり・・・と歯を擦り床の布を引っ掻く。しばらく躊躇った後、ネサラは言った。

「・・・取って・・・ください、フェニキス陛下・・・」

屈辱と恥辱にまみれながら言い終わった瞬間、ネサラの瞳に浮かんでいた涙が溢れ出す。
ティバーンは満足そうに笑うと、その涙を拭い軽く口付けた。

「う・・・」
「ホントは名前の方がいいんだが・・・まぁいいか」

ティバーンがネサラの秘所に指を差し挿れ、奥のコインを探る。

「あ・・・ぅ・・・っ」

ティバーンの指に反応してしまう自分の身体が恨めしいとネサラは思う。
不意に、コインがネサラの弱い部分を掠めた。
僅かに、ネサラの腰が跳ねる。

「っティバーン!早く・・・っ!!」
「だから、今取ってんだろ?」

ティバーンは嘲る様に答えながら、ネサラの内で器用にコインを指の腹に乗せる。
そして、そのまま上へ押し上げた。

「ひ、あああっ!!」

思わずネサラは背を仰け反らせて喘ぐ。
次いで吐き出すような粘着音が部屋に響いた。

「・・・取れたぜ、コイン」

ティバーンが濡れて気持ちの悪い光沢を持ったコインをネサラの前に突き出す。
ネサラは達した余韻で目も虚ろのまま、大きく呼吸を繰り返していた。

「さてと、まだこれからだぜ・・・ネサラ」

ティバーンは金色の獣の瞳子でネサラを慈しむ様に見詰める。
・・・そのせいかもしれない。
その後のネサラの声は蕩けそうなぐらい、甘く艶やかな声だった。



                                     fin.



















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