+倦怠的な愛+


最初は、痛み。
それから、快楽。
残ったのは、倦怠感。
それの繰り返し。



「マルス・・・さん」

リンクはベットの上でぐったりとしながら彼を呼んだ。
辺りの照明はほとんどなく、外からの光は一筋もない。

「何?リンク」

彼は涼しい顔でリンクの呼びかけに答える。

「水を、いただきたいんですが・・・」
「いいよ」

彼は自分の口に水を含むとリンクに口付けた。
リンクの舌の上に水が流し込まれる。

「んっ・・・う・・・」

この場所に閉じ込めてられてから、リンクの時間感覚はとっくに狂っていた。
彼はふと現れて、リンクを犯す、そしてまた、消える。
それを繰り返されてリンクはもう立つことすらできなかった。

「マルスさん・・・私をここから出してください・・・」

もう何度目になるか分からない願い。
しかしそれを彼が聞き入れることも無かった。

「それはできないんだ。ごめんね」

表面上は困った顔をして謝っているけど、それは本当に表面上だけなのだ。

「リンクは僕の事、好きかい?」
「・・・・・・ごめんなさい」

彼の問いかけに、素直に『はい』と言えばこの地獄から助かるかもしれない。
だがリンクは自分の想いに嘘をつけなかった。

「まだ、君の中には大事な人がいるんだね・・・」

心底悲しそうな顔で彼が呟く。

「僕は君の事をこんなに愛しているのに」

いくら彼に愛されようとも、リンクは彼の思いに答えることは出来ない。
リンクの心にはダークグリーンの瞳の、自分に温かい手を差し伸べてくれるあの人以外居なかった。

「・・・私はマルスさんの気持ちには応えられないんです」
「うん・・・そうだね。でもその内、リンクには僕しかなくなるよ」

そう微笑みながら言う彼の瞳は狂気に輝く。
リンクにとってそれは地獄と天国を往復させる時間の、始まりの合図。



「っは・・・ぁ」

彼がリンクの首筋に軽く歯を立てる。
そこには既に前前の行為で付いていた赤い跡が幾つも残っていた。

「リンク・・・」

彼の手がリンクの肌の上を滑る。
その手はリンクの心臓辺りの上をハートを描くように優しく撫でた。

「もしここを、僕が剣で刺したらリンクは死んでしまうだろうね」
「・・・っ!!」

彼の言葉にリンクは身を固めた。
まだ、死ぬわけには行かないのに。
リンクが青い顔をして彼を見ると彼はにっこりと笑って口付けた。

「リンク、愛してるよ」
「マルスさ・・・・・うあっっ!!」

ずっ・・・という音と共にリンクの内に異物が入る。
異物は彼の指で、我がもの顔でリンクの内を暴れまわった。

「あ、あ、嫌ぁっ・・・!」

マルスにさんざん甚振られたリンクの内は、少しの事でも血が流れ出るようになっていた。
その赤は彼の指やリンクの太ももを伝ってシーツに落ちる。
痛く濡れた音が部屋に響く。

「い、たっ!マル・・・ス・・さん・・・やめ、てっ!!」
「・・・それはできないな」


これが痛み。


彼はリンクの胸の突起を口に含んで弄った。
リンクの身体はそれに反応し、痛そうな顔が少し変わる。

「はっ・・・あ・・・あ・・っ!」
「気持ちいいのかい?リンク」

リンクは快楽に流されかけながらも首を横に振った。

まだ、痛い。

「そう、じゃあこれは?」
「んぁっ!や、ぁぁっ!」

彼はリンクの胸から口を離すと内に指を入れたままリンクのものを口に銜える。
包まれる感覚と抗えない感覚に、リンクの背が瞬間的に仰け反った。


これが快楽。


「もっと強くするよ」

リンクの内に入った指がさっきよりも本数を増やして凌辱を繰り返す。
血はもう止まることなく流れ出ていた。

「ああっ・・・マルスさ・・・うあっ!」
「もういいかな」

彼は指を引き抜くとぴちゃぴちゃとそれを舐める。
もはや血でないものも混ざっていた。

彼はリンクの足を抱えて大きく開かせると、自分のものを一気に押し込む。
血で多少滑りがよくなっていたが、傷を擦られる痛みにリンクの口から咆哮のような絶叫が上がった。

「あ゛あ゛ああァァっ!・・・や・・・め、てぇっ!!」

リンクが涙を流して哀願しても、彼はそれを聞き流して激しく揺さぶる。
うっとりとした表情でリンクを見つめ、リンクの秘所から卑猥な音を叩き出す。
焼けつくような痛みの中で懸命に快楽を拾うリンクを、彼は容赦なく攻め続けた。
そうして、二人が絶頂に達するまでにそう時間はかからなかった。

「ひっ、あああああぁぁぁァァっっ!!!」
「っく・・・!!!」

飛び散る粘着質な水の音。
意識が飛びそうなほどの快楽と急激な脱落感。


一瞬の天国と永遠のような地獄。


「ま、るす、さ・・・ん・・・」
「ああ、ごめんね。また中に出しちゃったみたいだ」

今度は少しも悪びれた様子もなく、彼は笑った。
今のリンクにはそれにすら非難できる力も残ってない。

「すぐに、出すからね」

彼はリンクを抱きかかえて、その内に指を押し込む。

「あ、あ・・・やぁぁっ!」

また内に入ってくる異物感。
今度は掻きだされる感覚。

「リンク、暴れないで。すぐ終わるから」

リンクの内から出る血はさっきよりも勢いを増したようにも見えた。
だくだくと流れるそれはリンクの心までも流れ出して行きそうだった。

「は、ああぁ・・・」

彼が指を抜くと同時にリンクは死体の様にぐったりとして彼に寄りかかる。


これが倦怠感。


「リンク、後はしておくからもう休んでいいよ」
「・・・・・・はい」
「リンク、愛しているよ」




愛ゆえの狂気以外ならよかったのに。

憎まれた方がマシだったかもしれないのに。

彼からの最後の優しさが、なによりも重くて痛くて、

なんて倦怠的な、愛なのだろう。




                     fin.

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