+砂漠の夜に+
しゅるっと靴の紐を解く。
着地地点は2m先の四角いアレ。
3歩目で飛ぶ。失敗は許されない。
大きく深呼吸をして・・・いざ白い天国へダイブ!
「・・・何してんだヴァイス?」
頭の上からギルダーの声が聞こえる。
生憎、俺の顔は枕という谷間に嵌っていて、くぐもった声しか出せない。
「ベッドの幸せを感じてるんだ・・・俺、2週間も無人島にいたから懐かしい・・・」
「ハハッ、そりゃ確かにな」
もそもそと枕から顔を上げ、改めてベッドの幸福を全身で感じた。
無人島の石のベッドとは違う。柔らかい感触。
ギルダーがいなかったらミノムシみたいにベッドの上で転がりまくっている所だ。
流石に恥ずかしいから、今はやらないけど。
「ベッドがこんなに素晴らしいものだって改めて知ったぜ・・・」
「じゃあ今日はゆっくり休めよ」
ぽんぽんと俺の頭を大きな掌で軽く叩いた後、ギルダーは自分のベッドに戻る。
ああ、夜中突然モンスターに襲われることも、豪雨で凍えそうになることももう無い。
さらばサバイバル。今夜はぐっすり眠れそうだ・・・!
深夜。
不意に、俺の目が開いた。
暑い・・・違う、熱い、だ。
身体が熱い。
特に腹が。
「ん・・・」
下腹部を押さえたまま起き上がる。
あ、と熱の正体が分かって、俺は大きく溜め息を吐いた。
両手を広げて、『とある数』を数えて折り始める。
1、2、3、4・・・18、19、20・・・。
「もうこんなに日にちが経ってたんだ・・・」
ふぅと熱くなった息を吐いてベッドから静かに降りる。
ギルダーを横目で見たが、ぐっすり眠っているようでピクリとも動いていない。
「・・・よし」
音を立てない様、そっと部屋を出た。
行く先は、宿の奥に取り付けられているシャワールーム。
冷たい水を浴びれば、この熱も収まるはずだ。
ごそごそと脱衣所で服を脱ぎ、シャワールームに入る。
このシャワールームは噴水と同じ原理で水が通っているため、いつでも使える。
さっそくシャワーのコックを捻り、冷たい水を頭から浴びた。
「冷た・・・」
身体の熱はドンドン冷めていくのだが、やはり下腹部の熱だけ冷める気配は無い。
「・・・これも健全な証拠か」
正直な自分の身体に苦笑しつつも、キュっとシャワーの水を止める。
その手をそろそろと自分のものに伸ばした。
「んっ・・・!」
自身を軽く握って緩く擦る。
ビク、と身体が刺激に反応した。
「っ・・・は・・ぁ・・・」
呼吸が上がるにつれ、動く手が速くなる。
ぐちゅぐちゅと粘着質な水音が浴室に響く。
「ぁふ、あっ・・!」
ゾク、と電流の様な快感が背筋を通り抜けた。
待ち望んだ快感が近い。
「あっ・・はぁ・・・ッイ―――・・・!」
「ヴァイス?」
浴室のドアが開くと同時に空気が止まった。
同時に、俺の中の熱もいじらしく低下する。
「っギルダー・・・」
恥ずかしすぎてギルダーの方は見れない。
そうだ、ここのシャワールームにはカギが無かった。
「あー・・・悪い取り込み中だったか」
『悪い』とか言いながらもギルダーは平然と俺の方に近づく。
頼むから近づかないで欲しい。
「ギル・・ダー・・・なんでこんな時間にっ!」
俺の問いに、ギルダーは頭を掻きながらあっさりと答えた。
「お前と同じ事をするためだが」
「・・・・・・・・・は?」
「いやー、俺も最近ずっと船にいたんでな。でもってこの街丁度美女切れなもんで」
だから仕方なく、と笑う。
・・・ここまで堂々としていられるのが大人の貫禄と言うものだろうか。
いっそ女の出会えるまで我慢してくれと言いたくなる。
「え、と・・・俺まだだから先にシテいいか・・・?」
熱が返り始めた身体がまた開放を叫びだした。
ギルダーには悪いけど、少し待っててもらいたい。もちろん浴室の外で。
「・・・どうせだ、俺とやらないか?」
「え・・・・・・?」
言うが早いか、俺の後ろに立っていたギルダーが俺のものを掴む。
触れた瞬間、一気に血液が回り、熱が返ってきた。
「ひゃっ・・・!や、やめ・・・・・っぁ―――――っ!!!」
身体が痙攣して、ギルダーの手の中に濃い蜜液を放った。
「ヴァイスも結構溜まってるんじゃないか」
背後でギルダーが笑っているのが分かる。
俺にそんな余裕は無く、恥辱で死にたい気持ちだった。
「はっ・・あ・・・な、なんで・・・こんな・・・っ」
「気持ちよかっただろ?」
「う・・・」
手を洗いながら言うギルダーに俺は何も言い返せない。
確かに数週間分溜まっていたせいもあったが、あんなにすぐにイかされるなんて。
悔しいが、ギルダーの言う通り気持ちよかった。
「な、いいだろう?ヤろうぜ」
「ヤるたって・・・俺、男となんかしたことない」
「ま、そこは俺に任せな」
ぎゅっとギルダーに抱き寄せられ、思わず身を強張らせる。
そのまま抱え上げられ、ベッドにまで連行された。
「ちょっ・・・ギルダー!?」
「流石に浴室は狭いからな。あ、ベッドはお前の方のを使うぜ」
片腕で抱きかかえられている事に突っ込めばいいのか、ベッドの事に突っ込めばいいのか。
考えている内に部屋に着き、ベッドに放られる。
本日2度目の顔面ダイブ。ただいま白い天国。
「さてと、じゃあいいな」
俺の肩を掴んで起き上がらせる。
そのまま俺を後ろから抱きしめた。
「あ・・・っギルダー・・・?」
クっと顔を上げさせられ、俺を見下ろすギルダーと視線がぶつかった。
「目を閉じな、ヴァイス」
「・・・?」
言われたままに目を閉じる。
ふ、と唇に物の当たる感触。
「んっ・・・!?」
目の前にはギルダーの顔。
押し当てられた唇から柔らかい物質が侵入してくる。
器用に動き回って、俺の口の中を好きなだけ蹂躙した。
「んぅぅっ!・・・はぁ・・・ふ・・・・っ」
ギルダーの空いている手が俺でも触れたことの無い所に滑る。
つぷ、とギルダーの指が秘所に入り込んだ。
「ぁうっ!んぅぅっ・・・!」
圧迫感と嫌悪感が俺の内のギルダーの指を締め付ける。
だが、そんなことは気にしない、と言わんばかりにギルダーの指は俺の内を掻き回した。
フラッシュバックしそうなほどの、苦痛と快感。
呼吸が出来なくなったところで、やっとギルダーの唇が離れる。
「・・・目を閉じろって言っただろ?」
「あ、あ・・・っ」
とろんとして俺の視界が定まらない。
ゴーグルを着けていれば、なんて思ってしまうほど思考もぼやけていた。
「にしてもヴァイス、お前腰細いな。それに割りと童顔・・・」
「い、言うなぁ・・・っ!」
痛い所を突かれて、ふっと意識が戻る。
「おっと。力抜いとけ、もう少しだからな」
「え・・・・・・っふぁ、ああぁ・・っん!」
圧迫感が増える。
秘所にギルダーの指が3本一度に入り込んだ。
「ひ、あ、あっ!・・・ギル、ダァ・・・痛っ・・イ・・・抜い、て・・・」
「もう少しだから・・・けど意外と良い具合だぜ」
何がどう良い具合なのか全然分からない。
けれど、自分の身体に先程の様な快楽が湧き上がってくるのが分かった。
「あっ・・・ギルダー・・ァ・・・なん・・か、もぉ・・・っ」
自分でも信じられない程甘ったるい、艶を帯びた声が出た。
「・・・よし、もういいか」
ギルダーは1人で納得すると、子猫の様に俺の身体を持ち上げる。
その時、髪の毛がざわっと上に持ち上がる感覚に襲われた。
それは猫が毛を逆立てる感じに似ている。
「じゃあ・・・いくぜ・・・」
ギルダーの熱っぽい吐息をうなじに感じながら、俺の身体はガクンと下に落ちた。
落ちた瞬間、秘所に燃えそうなぐらいの熱を感じる。
「イ・・・・ッヤァああぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛っっ!!」
「・・・スゲー声だな・・・」
ギルダーは感嘆の声を漏らすが、こちらはそれどころじゃない。
内臓をえぐって突き破るような感覚が、波の様に俺を襲う。
「ひ、あぅっ・・・う、あぁぁ・・・!」
もう、何だコレ。
頭の中も身体もワケが分からない。
ただ、身を焼くような快楽だけを感じる。
「気持ち・・・イイか?」
「んっ・・・わ、わか・・ら・・・なっ・・・・・っ!」
激しく突き上げられる度に俺の目から溢れた涙が飛び散る。
身体ががくがくと痙攣する。
下腹部が信じられないほど熱い。
もう、限界。
「ギル、ダァ・・・っ!も、無理ぃ・・・っ!」
「ああ・・・イカせてやるよ・・・」
強く腰を掴まれ、快楽に叩きつけられた。
びちゃびちゃと俺の腹で蜜液が飛ぶ。同時に俺の中でギルダーの同じものが散った。
「ん・・・っ」
目の前はフラッシュバックなんてものじゃない。
高熱の光が全身にぶつかって、弾ける様な快感しか、映らない。
「は、ぁ・・・・・ギル、ダ・・・ァ・・・・・」
ゾクっと背筋を震わせ、急に脱力する。
そのまま、俺は意識を白い天国へ落とした。
身体は、もうどうなったかなんて分からない・・・。
カシュっと音を立ててギルダーは愛用のパイプに火を点けた。
一息吸って、大きく吐く。
その顔はいかにもご満悦な様子。
「なんだかな・・・」
正直驚いた。ヴァイスの身体に、だ。
ヴァイスの内に指を挿れた時からまさかとは思っていたのだが、当たっていた。
女性でもそんなに多くないのに、ましてやヴァイスは男。
珍しい事この上ない名器。
「おもしれぇモン、見つけちまったな」
ギルダーはもう一息パイプを吸うと、熟睡しているヴァイスの頭を軽く撫でた。
fin.
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