+愛の言霊+



グレートフォックス内のファルコの部屋での情事。
甘い声。電流のような快感。燃える様な互いの熱。

『っ・・・あ、ファルコ!・・・もぅ・・・!』
『フォックス・・・愛してんぜ・・・』
『ファル・・・っあああぁぁぁっ!!』

それは、
身体の欲求を満たす行為。
目に見えないものを確かめる行為。
全てで愛を、伝える行為。



「なぁ・・・ファルコ」
「ん?」

ファルコの腕の中でフォックスが呟く。
密着している体は、まだお互い熱い。

「ファルコって俺のどこが好き?」
「は?」

フォックスは身を起こしてファルコの顔を覗き込む。
互いの視線がぶつかった。

「どこが、好きなんだ?」
「なんだ、いきなり」
「いいから答えて」
「そーだな・・・」

視線を合わせたままでは答えづらいのか、フォルコは視線を外す。
それでもフォックスはずっと見詰めた。

「好きな所・・・好きな所・・・」

目を閉じてぶつぶつ考えるフォルコに、フォックスは軽く溜め息を吐いた。

「・・・ファルコ、俺シャワー浴びてくるから。その間に考えといて」
「あ、後始末・・・」
「いい。自分で出来る」

フォックスはファルコの腕をすり抜け立ち上がると、大きめのタオルを身体に巻きつける。
しっぽで秘所を押さえながら、さっさとバスルームに向かった。
残されたファルコは『俺何かしたっけな・・・』と不安に思いながらも、フォックスの問いを黙々と考える事にする。

「好きな所か・・・あ゛〜〜・・・」

あまりそういうことに頭を使っていないファルコは早々に行き詰った。
ベットから手を伸ばし、ランプ台の2段下に入っている物を取る。
星のマークが描かれた紙箱と、青のライター。

「あと3本か・・・」

紙箱の中から1本取り出し口にくわえる。
慣れた手つきで火を点け、軽く吸う。

「は・・・」

白煙の口から登らせてもう一度思考をめぐらす。
ファルコはフォックスからの難題に、リラックスしながら考えるという方法を取った。
もっとも、このリラックス方法は1人の時に限るのだが。

「んー・・・フォックスの好きな所か・・・」

正直、戦闘の事を除けた上の事だが自分はフォックスに盲目的だと思う。
甘い、とでもいうのだろうか。
フォックスの黒く、小憎らしい所でさえも時には可愛いと思ってしまう自分がいる。
ベットで乱れる様もこれほどない言うぐらい妖艶に乱れて夢中にさせられる。
要は、全て好きに近いような状態だ。
嫌いな所がない。あっても嫌いとまでは行かない。やはり、可愛いのだ。

「こんな答えじゃフォックスは納得しないだろーしなぁ・・・」

3本全て吸いきるまでに考えつかなくてはと、ファルコは思考を早めた。



「ん・・・」

シャワーからの温かいお湯がフォックスを頭から濡らす。
フォックスはお湯を浴びたまま跪き、壁に手をつける。
空いた手で秘所に触れ、ゆっくりと指を押し挿れた。

「っ・・・!」

フォックスの手を伝って、ファルコの蜜液が流れ落ちる。
掻きだす様に指を動かし、その流れを速めた。

「っ・・・はぁ・・・!」

びくっとフォックスの身体が震える。
先程の情事の熱がまだ残っていたらしく、自分の指でも感じてしまう。
フォックスは一旦指を抜くと水温を一気に下げた。
冷たい水が、フォックスの身体を打つ。

「っ・・・ぅ・・・」

再び指を押し挿れ蜜液を流す。
霧掛かる頭の隅で、先程ファルコに言った言葉を思い出した。

『俺のどこが好き?』

・・・バカな事を訊いてしまったと、フォックスは苦々しく思った。
ただ、知りたかっただけなのだ。ファルコの自分に対する想いが、何なのか。
身体を重ねるだけなら、愛の言葉など囁かなくてもいいのに。
だから訊いてしまったのだ。自分なんかの、何が良いのかと。
こんな自分を好いてくれる理由を知りたかった。

「バカだな・・・俺・・・」

キュ、と蛇口を閉めてフォックスは立ち上がり、バスルームから出る。
目の前にあった鏡を覗き込めば、身体に幾つもの紅い痕と、無表情な自分が映った。
鏡から視線を外し、髪を拭って来たときと同じようにタオルを身体に巻きつける。

「もういいかな・・・」

フォックスは頭を捻らせているであろう、ファルコの元に戻った。



「えーと・・・あー・・・・」
「ファルコ」
「お、フォックス」

3本目のタバコを擦り消して、ファルコはフォックスの方を見た。

「考えついた?」
「まぁ・・・一応・・・」

ばつの悪そうな顔を見ると、やはりいい案が思いつかなかったらしい。
フォックスはファルコのベットに腰掛けると、じっとファルコの顔を見詰めた。

「で、どこが好き?」
「・・・顔」

・・・ぴたりと空気が止まる。
止まるというより、重すぎて動かなくなったといったほうが正しいかもしれない。

「・・・顔、なんだ」
「あ、ああ・・・」
「他には?」
「あー・・・笑った顔とか」
「・・・それって結局顔だよね」
「う・・・そう言ったってな・・・」

困ったように頭を掻くファルコに、フォックスはぷいと顔を背ける。

「・・・あーあ、ホントは俺の好きな所なんか無いんじゃないの?」

フォックスが冷たく言い放つ。
だがファルコからは何の反応も返ってこない。

「(・・・そんなものだよな)」

服を着ようと立ち上がろうとした瞬間、フォックスは腕を掴まれ強く引き倒された。

「わっ・・・!?」
「フォックス」

目に入ったのは、少なからず機嫌を損ねたファルコの顔。
怒って、いる。

「何・・・っ・・・」

唐突に、噛み付く様に口付けられた。
苦しいぐらい深く舌を探られる。

「ぅ・・・ん・・・っ!」

口の端から透明な液体が零れる。
やっとの事で唇を離すと、落ち着かせるように抱きしめられた。

「ファル・・コ・・・?」
「フォックス、お前の全部が好きだ」

優しい口調で、吹き込まれる。
フォックスは耳に当たるタバコ混じりの息がくすぐったくなり、軽く身をよじった。

「・・・タバコ、また吸ったんだな」
「・・・悪ィ」
「いいよ、別に」
「・・・フォックス、お前は俺のどこが好きなんだよ」
「・・・さぁ?」

悪戯っぽく笑って、フォックスもファルコの首に腕を回す。
ファルコはそれでも満足したのか、そのままフォックスをベットの中に抱き入れた。

「お前・・・シャワー浴びた割には冷たくないか?」
「冷水浴びてたから」
「ったく・・・風邪引くぞ」
「じゃあ、ファルコがあっためて」

ちゅ、と今度はフォックスの方からファルコに口付けをして。
するりと、フォックスの纏っていたタオルが床に落ちた。



                                       fin,





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