+大剣の独り言+



チャッ。チャッ。
耳につけた大きなピアスが鳴る。
だが主は気にする事無く、そのピアスを鳴らしていた。



主に名前はない。生きている頃には、あったかもしれない。


『私』は主の持ち物。年季の入った大きな剣である。
主が幽霊となっても常にともになった。ツクモガミ?と似たようなものかもしれない。
少し前までは成仏とは無縁で浮世の空を漂っていた。
今は主につきあって、とある生者の傍にいる。



とある生者とはまだ幼さの残る『少年』。



『少年』は戦闘中、ある技で主を呼び出す。
むしろ主がいっちょ出てやるか、と言ったノリで出たのかもしれない。
気まぐれな方だから。
その技とは少年が命名した『スカルシールド』。
敵の攻撃を受け止め反撃すると言う防御技。
割と活用してくれるので主は少なくとも1日1回は『少年』に呼び出された。



じゃあ呼び出されない時は何をしているのか。



簡単である。
『私』を大物の敵と戦う時に酷使してくれる『少年』の観察だ。・・・決して覗きではない。
ただ普段の状態の『少年』やその周りの者には主は見えない。
まぁ、見放題と言えば見放題である。
や、だから覗きじゃないって。

別に主とて危ない下心を持って観察しているわけではない。
ただ『少年』の成長振りを楽しく見ているだけなのだ。
・・・多分。



ああ、今日も主は『少年』に呼ばれた。
今日は珍しく人間の敵。新しい賞金首のようだ。



『スカルッシーィルドッ!!』


チャッ。チャッ。

主はピアスを鳴らしながら『少年』の元へ向かった。
そして今日も、あの深紅の瞳で『少年』を守るのだ。
さぁ、『私』を振るってくれ。
主はあの『少年』のために。
『私』は主のために。

なぁ、『ドクロ』の主よ。




                                     fin.












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