+今だけは背中を見ててあげるけど、いつかは+




ブルーは強いけど、ぶっきらぼうだから。



「おい、レッド」
「何〜?」
「お前何やってんだ?」
「ん〜なんだかロッドの調子が悪いの」

ある昼下がり。
まだグリーン達に出会えないまま、のんびりブルーと昼寝をし終わった後。
僕はロッドの異変に気付いた。

「調子が悪いって・・・どうかしたのかよ?」

ブルーはまだ横になったまま、眠気な眼をしていた。

「なんだか炎が出てくれない・・・どうしようブル〜」
「・・・・・・あァッ!?」

ブルーは反り返る魚みたいに勢い良く起き上がった。
元気いいなぁなんて思う。

「ロッドが使えなきゃテメエは丸腰だろうが!!」
「う〜ん・・・そうだよね。どうしようか?」

ブルーはじだんだ踏みながら怒鳴り上げる。
血圧上がっちゃうよ、ブルー。

「どうしようじゃねぇだろ!!」
「そう言ったって〜直んないんだもん」
「直せ!今すぐ!!」
「だーかーらー!直らないって言ってるでしょ!!」

ブルーはすぐぎゃあぎゃあ言って怒るんだから。
こんなケンカもいつもの事、といえばそれまでなんだけど。

「こんな時に敵が襲って来たらどうする気だ!」
「・・・ブルーが守ってくれないの?」
「なっ・・・甘ったれんな!!」

そう言うと思ったよ。

「・・・ブルーのケチ」
「うるさいっ!・・・ほら、これ貸してやるよ」

どすんと僕の前にハンマーが投げ出される。
僕はそれを握って・・・

「重たい。持てないよ」

僕はハンマーから手を放した。
やっぱり、僕はブルーみたいに力持ちじゃないもん。

「・・・お前なぁ!!」
「怒らないでよ。僕だって困ってるんだから」

こういう時妖精さんやグリーン達がいてくれるとなんとかなるのに。
生憎、妖精さんは今はちょっといなくて、グリーン達も行方知れず。

「まったくお前は・・・っ!!」
「え・・・っ?」

とっさにブルーが僕の腕を引いた。
僕はバランスを崩して地面に転がってしまう。

「痛いよブル〜」
「馬鹿野郎!とっとと起きやがれ!!」
「ほえ?」

ふと気がつけば僕らの前には14、5体の敵が迫ってきていた。
ソルジャータイプの敵。

「ど、どうしよ・・・」
「レッド!俺の後ろから離れんなよ!!」
「ブルー・・・」

ブルーはざくざくと敵を斬ってフォースに変えていく。
でも到底敵より優位にはなれない。
数が違いすぎる。

「ブルー、危ない!!」

僕はブルーの腕を狙っていた敵の前に出た。
僕だって盾ぐらいにはなれるから。
そう、思ったのに。

「っ馬鹿!!」

僕はブルーに襟首を掴まれて、ぐりんと立ち位置を変えられた。
僕の後ろでザクッと切り裂く音が聞こえる。
ブルーがさっきのソルジャーを切り裂いたみたい。

「レッド!余計な真似すんじゃねぇっ!!」

ブルーは敵の中に突っ込んでいって剣を振り回す。
その間、僕は見ていることしかできなかった。




「こいつで、最後!!」

ブルーは最後の一体をフォースに変えると、その場にへたり込んだ。
散々剣を振ったせいで息が上がっているのが分かった。

「ブルー!!」

僕が駆け寄った瞬間、ブルーは疲れ切った顔を怒った顔に変えた。

「このっ馬鹿!なんでさっき出て来やがった!?」
「だ、だって・・・!ブルー、その怪我・・・さっき僕を庇った時の・・・?」

だくだくと、ブルーの右腕から血が出てる。

「・・・かすり傷だ」

そんなに赤い液体が流れているのをかすり傷なんて言わない。

「早く止血しなきゃ!」
「別にいらねぇ」
「いらなくないよ!!」

僕が強引にブルーの腕を手当てしている間はとりあえず大人しくしてくれた。
でもやり終わるとブルーは僕から離れてしまう。

「ブルー・・・ごめんね・・・」
「・・・俺は休む。見張り頼んだぜ」
「うん・・・」

そういうとブルーは近くの木に身を預けて目を瞑った。
僕はのろのろとブルーの横に座る。

「・・・ごめんね、ブルー」

僕はぽそっと囁いた。

「今度はちゃんとブルーと一緒に戦うからね」

だから今は頼らせて。

そう呟くとちょっとブルーが笑った様に見えた。




後日、ロッドが直ったと同時に敵が出てきたから、今度は頑張って戦った。

「レッド!!」
「大丈夫!ブルーは下がってて!」

僕はロッドを一振り。
続いて聞こえる炎と敵の叫び声。
火だるまになって転がる敵をサクサクと斬り飛ばしていく。

「ブルー!全部倒したよ!!」
「・・・ああ」

頑張ったのに、なぜかブルーの顔色は青かった。
・・・なんでなんだろ?




























                             fin.





















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